安定志向の私は、変化や未知を避けて現状維持を望む傾向があります。変化や未知に触れることによって得ることのできる利益があるのに、損失の方を重視してしまうこの心理作用を『現状維持バイアス』と言うそうです。この思考のクセがあると自分で客観的に知っておくことは重要だと思うのです。
本当に理想のコースなのか
私が高校生の頃は、受験戦争の真っ盛りでした。『有名進学校を卒業して現役で有名大学に入学。卒業後は大手企業に就職して定年まで働く』というのが両親から繰り返して聞かされてきた理想のコースでした。おそらく、世間の人の大半が何の疑問もなくその環境が普通だと思っていたのでしょう。私だけでなく、クラスメートのほとんどがそのコースを志向していたように思います。自分の夢のために進路を決定していた同級生は、クラス内でも数人でした。
要するに、何も考えずに理想のコースに沿って動いていれば安心という思考のクセです。その当時は、それ以外に自分自身の考えや、未来への理想などは全くありませんでした。
私は、高校入学までは頑張って勉強をしていました。ですが、その後友人との遊びに夢中になり成績が振るわなかったため、現役での大学入学はできませんでした。この時点で、いわゆる理想のコースからはドロップアウトしてしまったのです。原因は私自身にあるとはいえ、理想のコース以外の進路を考えてなかったために、人生をしばらく迷走することになりました。
現金預金と貯蓄保険で安心なのか
『お金は銀行預金か貯蓄性保険が安全』『投資なんてアブナイ』この2つの言葉は、就職時に両親から口酸っぱく言われた言葉です。聞いたことがある人も多いのではないでしょうか。私も、何も考えずにこの言葉を当たり前の事として受け入れてしまっていました。これも、稼いだお金は必要以外は使わずに貯蓄しておけば安心という思考のクセでしょう。
この2つの言葉を当たり前としていた私も、貯蓄を基本に生活設計をしていました。しかし、40代になって、気まぐれに老後の年金受給額を計算した時に、貯蓄の取り崩しだけでは老後の生活費が不足する可能性があることに気が付いたのです。少子化の時代に、年金受給額は増えることはほとんどないでしょう。一方で、物価が据え置きになっている可能性もほとんどありません。つまり、もらえる年金と貯蓄の取り崩しは定額でも、生活の消費額は上がっている可能性が高いのです。
投資の事を真剣に勉強し始めたのは、この頃からです。景気悪化と増税が常態化して、長期に渡って賃金の上昇があまりない現在では、現金の貯蓄や貯蓄保険だけで教育資金と老後資金を賄うのはかなり厳しく、投資の知識は今後必須と言えます。
ただし、貯蓄と異なるのは、投資の果実を収穫するには、10年20年単位の長い年月が必要であるという点です。ですから、若いうちから投資の仕組みとその利点、リスクを勉強しておいてなるべく早期に投資に取り組むことが有益なのです。
時代とともに変わっていく
私たちが年とともに老いていくように、年月を経るごとに社会の仕組みや常識は変化していきます。自分自身に思考のクセがある事を理解しつつ、変化を捉えて柔軟に対応できるようにしていきたいものですね。